『No.912 心地良い丸み』 家に帰ると、部屋が真っ暗で妻の車もない。あらあら残業なのかね…娘を車から降ろし、何の準備もしてないのを確認し、風呂を洗い、米を研ぎ、夕飯の支度にとりかかる。 面倒だから、今夜は鍋にしようかな…寒かったしね。 てな感じで今夜の夕飯のメニューは… ・トマト風味の白菜のミルフィーユ鍋 ネットで見て美味しそうだなと思ってたやつ。いつもだと和風だしで煮込んだ白菜と豚バラをポン酢で食すのだけど、今夜はホールトマトとコンソメで煮込むやつ。ちょっとしたアレンジでこんなに装いがかわるんだ。ただ自分の手際が悪く、見栄えは良くないけど。 そして今夜は、フランスのクリスチャン・ヴニエのラ・ピエール・オー・シアン2017年をお供に。クリスチャン・ヴニエ…実にまじめな作りのワインでお気に入りの作り手さん。そんな彼のピノ・ノワール100％の一本。うーむ、楽しみ。 抜栓し、グラスに注ぐと、淡いルビーの色合い。サラサラ系かと思いきや、少々粘度ありといった具合。グラスに注いだ時から、果実の甘い香りが立ち込めんばかり。ベリー系と少々野性味のある木苺やスモモのような。そしてほんの少し奥底から土のようなニュアンス。前回飲んだイタリアのコル・ディ・コルテのベッチェのようだなぁ。そして一口…まず感じるのは柔らかさ。そして丸み。そして体に染み入るような優しい感触。スゥーッと抵抗なく体に入ってくる感じはなかなかのもの。フレッシュな果実の味わいにアクセント的な酸味。土のニュアンスから花のようなエレガントな感触やアフターのチョコ感。 うん、とても美味しい！ただこの感じピノ・ノワールって感じじゃないんだよなぁ。 僕の中の勝手なピノ・ノワール感って、清楚で人見知り、少しよそよそしい印象って感じなんだけど、このラ・ピエール・オー・シアン、人見知り感が皆無というか、感触がダイレクトなんだよなぁ。ずげずげと人の心に入っていく感じ。 個人的には、ピノ・ノワールっていうよりか果実感がグジュっとしたガメィ飲んでるでるみたいな…ふと、裏面を見ると、アルコール14.5％…あ、そうよね、気をつけないとね…と思ったが、後の祭り。若干ふらふら。 美味しいけど、飲みすぎにちょっと注意ってことで。それにしても美味しいんだよなぁ。 この味の丸さがクリスチャン・ヴニエって感じ…わけわかんないか。ごちそうさまでした。

カリヤカ・ズノリ