ケア。絶滅危惧種。世界で唯一雪山に生息する、ニュージーランド固有の鳥である。エチケットの遊び心に惹かれ、開栓する。 色は薄く、明るい。居間にただよう白熱灯の光を吸い込み、チャーミングな感じさえする。どうも警戒する必要は、なさそうだ。 「いただきます」 陽光を照り返す山肌。一筋の水脈がほとばしる、根源。そこへ、世界一賢いと名高いオウムが、咥えた一粒の葡萄の果汁を、加える。 赤ワインは濃厚でなければならない、と嘯いていた頃もあった。今は、そうではない。軽妙な、美味しいワインがあるのだ。 広い世界に想いを馳せながら、グラスを傾け、今日を生きる。 「ごちそうさまでした」

ジョベーゼ