蒸し暑い夜を白ワインとともに過ごす。 透明なボトルに対して若草が爽やかに、はえる。 グラスに顔を近づける。冷涼な川の水にさらしておいた青い果実を、流れから引き上げたばかりのような香りだ。 「いただきます」 思わず喉を鳴らして飲み干す。非常にシンプルな味わいだ。奥行きこそないが、濾過された表面を手ですくって飲むような、自分が今、きれいなものに触れている、という感じがする。 今週の古都は、雨が続くようだ。人は環境に左右される。だから、贅沢なものでなくても、なるべく良いものを身近に置きたいと思う。 「ごちそうさまでした」

ジョベーゼ

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