『No.1034 それは悪魔の水』 冷え込みが厳しくなると、鍋とかおでんとか煮込み物が食べたくなってくる。今日も娘と、夕飯なんだろね？なんてことを話しながら、家路を急ぐ。 家に着くと…ん？何の香りかな？なんだかカレーやシチューのルーを入れる前の煮込んだ香りが…お、今夜はカレーかな？シチューかな？ 妻に訊くとどちらでもないそうで…うーん何だか気になるなぁ。 そんな今夜の夕飯のメニューは… ・麻婆茄子 ・牛すね肉と大根のスープ おぉ、そういうことだったんだねぇ。牛すね肉と大根をあっさり味に仕上げた煮物的なスープ。それに麻婆茄子。今夜はセブンの冷凍モノでなく、妻の手作り。これもまた嬉しいな。そして今夜は、イタリアのポデーレ・プラダローロ、エクス・アルバ・ヴィノ・ビアンコ・マセラート2019年をお供に。トレッビアーノ・ダブルッツォ100％の一本。おぉ、実にイタリアらしいワインって感じ…よくわからんけど。 抜栓し、グラスに注ぐ…オレンジ、実にオレンジな色合い。見方によっては出来立てほやほやの10円玉のような色合い。香りの方は…オレンジやボンタンのような柑橘の香り。うっすらとお茶的なニュアンスも。そして一口…枇杷やカリン、黄桃のような果物の味わい。ほろ苦さを感じるオレンジピールや烏龍茶的要素も感じられる。何より美味しい。 豊かな果実味と共に、少し高めの心地良い酸味が実に気持ち良い。何より、ワインの味わいがダイレクトときたもんだ。タンニンも液体にうまく溶け込み、これまた心地良さに拍車をかける。ミネラルもコリコリッ。それでいて液体に丸みを感じる。何よりこんなに旨味の主張が強いのに、アルコール度数は比較的控えめな10.5％。これはもう、悪魔の水ですね。 まず、麻婆茄子に合う！どちらも進む。豊かな風味が相性の良さを醸し出す感じかな。そして牛すね肉と大根のスープ…いやはやこれも合うなぁ。ホロホロに煮込まれた大根や牛すねをハフハフ言わせながら食べ、ワインを飲む。まさに至福の一時。 以前、同じ作り手のマルヴァジアのワインをいただいたが、あれも格別に美味しかった。今回のトレッビアーノ・ダブルッツォもまた美味しい。抜群のセンスの良さと、ちょっとした外し(野暮ったさ)の絶妙さが光る…個人的に。 ポデーレ・プラダローロ、これからも追っかけまわさなきゃだ。ごちそうさまでした。

カリヤカ・ズノリ