『No.915 尖ってますねぇ』 雨。2、3日前と比べるとましにはなったが、それでも寒い。家に帰るとあったかい。ほっとしながら、台所から流れる夕飯の匂いを嗅ぐ。 ん？おっ、今夜はもしかしてシチュー？ 寒い日にはやっぱシチューでしょ！娘もテンション上がり気味。 てな具合で今夜の夕飯のメニューは… ・クリームシチュー ・アボカドとトマトの和風グリル そしてイタリアはカンパーニャのバイヨラのビアンコ・バイヨラ2017年をお供に。ヴェルメンティーノ、ヴィオニエ、ソーヴィニョン・ブラン、マルヴァジア・デッレ・リーパリ、イングローチョ・マンゾーニといったセパージュ。 スクリューキャップを開け、グラスに注ぐ。かなりのオレンジっぷり。香りの方は…お、ん？フワッと香るのはビニールっぽい香り。奥底に果実の香りを感じなくもないが、少しビニール感が強いかな。そして一口…おっ、酸味が強いな結構。まぁ決して嫌とまではいかないが強めではある酸味。見た目の琥珀感でこっくりもったりな味わいを想像してたからびっくりしたのかな。シャープさを増した飲み口はいいかも。それより気になるのは、ザラリとしたテクスチャー。少しばかり喉の通りを邪魔するようなザラザラ感。だけどザラザラの奥に旨味らしいものを感じさせてくれるから始末に悪い。 ワイン単体だとちょっと尖った感じだが、食事と合わせると幾分落ち着きが見えるような。あれほど際立った酸味も、食事と共にいただくと急に鳴りを潜める。うーん、なかなか悪くない。柑橘や杏、梨の果実味に、ほのかな甘味。ハーブやお茶のニュアンス。後味がグレープフルーツ的なほろ苦さでラストになぜか鉄っぽさ。 何だか惜しいな。ラストの鉄っぽさ。決して強くはないかもだけど、時々感じるんだよなぁ。 作り手の確固たる信念に基づいて作られたであろう一本。こだわりの強さはこの味わいにもしっかり感じられる。決して万人受けはしないであろうこの独特な味わい。自分としては何とも言えない。良さも十分に感じるけど、ウィークポイントもしっかり受け入れなきゃ飲めないかな。まぁ、人それぞれなんで、何とも言えないけど。 ごちそうさまでした。

カリヤカ・ズノリ