『No.893 のようなものと共に』 家に帰り、今夜の夕飯のメニューを訊くと、なにかしらモゴモゴ言っているが、うまく聞き取れない。そんなことを繰り返しているうちに、相手がシュクメルリといっているのが分かった。 シュクメルリ…はて？…あ、あのニンニクがやたら効いたクリームシチューみたいなやつね。 どうやら、朝の情報番組ラヴィットでやってたものを見よう見まねで作ってみたらしいのだが…うーむ、なんだか知ってるやつと違うぞ。鶏モモじゃなく手羽だし、ジャガイモの代わりにペンネが入ってるし、あれトマトって入ってたっけ？ そんなこと言ってると、じゃあ食うな！と言われそうなので、お口にチャック。 そんな今夜の夕飯のメニューは… ・シュクメルリ風な何か それにご飯と味噌汁といった具合。そして今夜はシャトー酒折ワイナリーの甲州アイ・ヴァインズ2017年をお供に。そういえば甲州を飲むのってずいぶん久しぶりだなぁ・・と思ったり。 抜栓し、グラスに注ぎ、香りを…と思ったが、あまり強くなく、うっすらと柑橘のような香りが。そして一口…おぉ、ホワッと丸みを帯びたやわらかでふくよかな味わい…かと思いきや、スッと後口が引いていく潔さ。よく言えば切れ味の良い後口、よく言わなければ余韻がほぼないといった感じか。丸みを帯びた味わいってのは桃っぽい風味なのかな。そして酵母感。 この丸みが、シュクメルリ風な何かとよく合うわけで。ニンニクの風味と寄り添う感じ。手羽元や野菜類といいあんばい。どちらも進んでいく。柔らかい味わいと共に感じるキュッとした酸味が良いアクセントになってるのではないかと思ったり。 人によってはどこか物足りないな…と感じる向きはあるだろうけど、僕はわりと好きかな。ただ余韻の短さに少し物足りなさを感じるのも事実。 和食にはたぶんばっちり合うんだと思う。和食の繊細さを邪魔しない感じ。程よい酸味と味のふくらみ。そして切れの良い飲み口とサッと消えていく後味。刺身や山菜の天ぷら、個人的にはキスの天ぷらなんかに合わせてみたいな。 樽熟成モノよりは、ステンレスタンクのこっちの方が好みかな。ごちそうさまでした。

カリヤカ・ズノリ