華やかなスミレの花の香りが主体。次いでさくらんぼ、苺の若々しい果実の香り。アタックは十分に熟してない酸味の強いさくらんぼ。口に含んで早々酸が目立つが、不快ではない。アフターにかけダージリンの茶葉のような品のあるタンニンを感じられるも、やはり酸に押されがちで印象に乏しくなってしまっているのが惜しまれる。ただ、赤系果実、酸味、茶葉、スミレの花といったサンジョベーゼ〝らしさ〟は一通り押さえられているので、十分楽しめる。あとは、破綻しそうでしない不安定な味わいに面白さを見出せるか。一貫して押しの強い酸のためか、テイスティング中は高所での危なっかしい綱渡りを見ているような気分になる（でもちゃんと渡り切ってくれた）、そんなワイン。

のみものがかり