味わい |
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香り |
ワイン名 | St. Innocent Pinot Noir Zenith Vineyard |
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生産地 | USA > Oregon > Willamette Valley |
生産者 | |
品種 | Pinot Noir (ピノ・ノワール) |
スタイル | Red Wine |
2016/10/26
(2012)
なんてワインを開けてしまったのだろう。やっぱり開けなければよかった、いやこれでよかったのか。 最愛のワイン生産地エオラアミティヒルズのシングルヴィンヤード、ゼニスからセントイノセントが作る最上級のピノノワール。 とっくに飲み頃を迎えていることはわかっている。とはいえまだまだこの先の世界が熟成とともに存在するであろうこともわかっている。そんなワインを一体いつ開ければいいのだろう。 僕のワイン師匠のお店に行けば、僕の知らない熟成ピノノワールを飲むことが出来る、だから家では熟成にこだわらなくていい、と思い開けたのだが、次にいつ会えるのかわからないゼニスヴィンヤードを開けてしまったことにはやはり後悔が付きまとう。まだ若かったからではない、あまりにも素晴らしかったからだ。 黒い果実系のアロマ。ポマールや777クローンが火山性土壌にフィットして、鮮やかながら濃厚なPNを実現させているイメージが脳内に広がる。獣感、腐葉土や皮革系のくすんだブーケは、期待通りの複雑性を提供してくれる。 栽培も醸造も、いわゆる自然派の手法に近いはずだが、それ由来の特殊な個性は皆無。ただただただただ美味しい。 酸味はキリリとしておりタンニンは丸みを帯びながらも屈強。いわゆるストラクチャーのしっかりしたワインで、熟成のポテンシャルをビンビン感じる。 故にボディは強靭、薄旨を是とするPNファンには好まれないタイプかもしれないが、恐らくこの美味感はタイプや好みの違いを乗り越える。 以前にセントイノセントのヴィラージュキュベを飲んだ際、そのまろやかさはマルチヴィンヤードによるもの、と解釈したが、これを飲んでつじつまが合わなくなった。シングルヴィンヤードの厳しさや尖った感じを持ちつつもこれだけマイルドだと、素人の妄想力も砕け散る。 ウィラメットバレーの特徴、旨味成分の強さは当然ながら感じられ、少しむせ返るような印象さえ受ける。 一生のうちに、もう一度だけでもいい、このワインに再会してみたい。