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5.0
憧れていた西麻布のワインバー、TSUBAKI。 良い酒に目がない大学時代の部活の先輩におねだりして訪問。 広尾駅から六本木方面に向かってしばらく歩き、閑静な住宅街に入っていくと、表が緑で彩られた雰囲気のある玄関に辿り着く。階段を数段降り扉を開くと、オリエンタルな調度品による異国情緒溢れる雰囲気と調和するスピリチュアルなBGMに包まれ、仄かなお香が気分を昂らせる。 この店は評判以上にヤバイ。一瞬でそう感じました。 もちろん良い意味で。 地域別にまとめられた何ページにも渡るワインリストに目移りしてなかなか決めきれないが、1杯目はシャンパーニュ、そこからはボルドーをボトルでオーダーする事に。 前菜を摘みながら悩んだ末に選んだ一本は、メドック4級、シャトー・マルキ・ド・テルム。 1967年。御年53歳の古酒。 ワインバスケットに乗って登場です。 非常に良い環境でゆっくり眠ってきた一本との事で、液面はinto neck。これだけの古酒でありながら保管状況の良さに驚きました。 シンプルなエチケットも経年劣化で素敵な味があります。 サーブしてくれる際は、オリが立たないようにゆっくりゆっくり傾けながら注いでくれます。アルコールランプに翳すと、縁は美しいオレンジ色。 この状態で残っているのはまさに奇跡と言われる。 ワインとの出会いは一期一会だが、この一本は間違いなく今後出会うことは無いだろう。それもこんなに完璧な状態で。 「このワインはとてもデリケートな状態なので、グラスを回してはダメですよ。」 これほど拘りをもってワインを出してくれる店に出会えたことに幸せを感じつつ乾杯する。 グラスに鼻を突っ込んで嗅いでみる。 色々な経験をしてきた成熟した大人だけどまだ生き生きとしている、そんな香りでした。 「口に含むと、古樹が茂る森林で、落ち葉を踏みしめながら道なき道を進み、その先にある人の居ない美術館で立派な額縁に飾られた古い絵画を眺める風景が浮かんで来るのではないでしょうか。」 飲んでないのにそんな事まで読めるのか?と思いながら口に含み、目を閉じると情景が鮮明に浮かぶ。 熟成した赤系果実のニュアンスに、木の葉の落ち着き。 母なる大地に包まれるようなまろやかさに、言われたままの情景とのシンクロも相まって心の底から感動しました。 「2杯目からはどんどん味が変わります。一つのドラマのように、連続的に移り変わっていく様を感じながら愉しんで下さいね。」 言葉のマジックでしょうか。余計に美味しく感じます。 最後の一杯は、ボトルをバスケットから取り出し、それまで神経を使って避けてくれていたオリを立ち上らせて注いでくれる。 「この一本が熟成してきた証です。是非ゆっくり舌で味わって下さい。」と。 そこには10年程度熟成したワインのオリの渋みとは一線を画した艶やかさがありました。美味しい。 本当に素敵な体験をさせて頂きました。必ずまた訪れます。
Hiro.T
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憧れていた西麻布のワインバー、TSUBAKI。 良い酒に目がない大学時代の部活の先輩におねだりして訪問。 広尾駅から六本木方面に向かってしばらく歩き、閑静な住宅街に入っていくと、表が緑で彩られた雰囲気のある玄関に辿り着く。階段を数段降り扉を開くと、オリエンタルな調度品による異国情緒溢れる雰囲気と調和するスピリチュアルなBGMに包まれ、仄かなお香が気分を昂らせる。 この店は評判以上にヤバイ。一瞬でそう感じました。 もちろん良い意味で。 地域別にまとめられた何ページにも渡るワインリストに目移りしてなかなか決めきれないが、1杯目はシャンパーニュ、そこからはボルドーをボトルでオーダーする事に。 前菜を摘みながら悩んだ末に選んだ一本は、メドック4級、シャトー・マルキ・ド・テルム。 1967年。御年53歳の古酒。 ワインバスケットに乗って登場です。 非常に良い環境でゆっくり眠ってきた一本との事で、液面はinto neck。これだけの古酒でありながら保管状況の良さに驚きました。 シンプルなエチケットも経年劣化で素敵な味があります。 サーブしてくれる際は、オリが立たないようにゆっくりゆっくり傾けながら注いでくれます。アルコールランプに翳すと、縁は美しいオレンジ色。 この状態で残っているのはまさに奇跡と言われる。 ワインとの出会いは一期一会だが、この一本は間違いなく今後出会うことは無いだろう。それもこんなに完璧な状態で。 「このワインはとてもデリケートな状態なので、グラスを回してはダメですよ。」 これほど拘りをもってワインを出してくれる店に出会えたことに幸せを感じつつ乾杯する。 グラスに鼻を突っ込んで嗅いでみる。 色々な経験をしてきた成熟した大人だけどまだ生き生きとしている、そんな香りでした。 「口に含むと、古樹が茂る森林で、落ち葉を踏みしめながら道なき道を進み、その先にある人の居ない美術館で立派な額縁に飾られた古い絵画を眺める風景が浮かんで来るのではないでしょうか。」 飲んでないのにそんな事まで読めるのか?と思いながら口に含み、目を閉じると情景が鮮明に浮かぶ。 熟成した赤系果実のニュアンスに、木の葉の落ち着き。 母なる大地に包まれるようなまろやかさに、言われたままの情景とのシンクロも相まって心の底から感動しました。 「2杯目からはどんどん味が変わります。一つのドラマのように、連続的に移り変わっていく様を感じながら愉しんで下さいね。」 言葉のマジックでしょうか。余計に美味しく感じます。 最後の一杯は、ボトルをバスケットから取り出し、それまで神経を使って避けてくれていたオリを立ち上らせて注いでくれる。 「この一本が熟成してきた証です。是非ゆっくり舌で味わって下さい。」と。 そこには10年程度熟成したワインのオリの渋みとは一線を画した艶やかさがありました。美味しい。 本当に素敵な体験をさせて頂きました。必ずまた訪れます。
Hiro.T