味わい |
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香り |
ワイン名 | Vadin Plateau Carac'terre 1er Cru Dosage Zéro |
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生産地 | France > Champagne > Vallée de la Marne > Hautvillers |
生産者 | |
品種 | Pinot Noir (ピノ・ノワール), Chardonnay (シャルドネ) |
スタイル | Sparkling Wine(White) |
2022/07/14
(2012)
価格:5,000円 ~ 6,999円(ボトル / ショップ)
2012 ヴァダン・プラトー カラク・テール・プルミエ・クリュ ドザージュ・ゼロ キュミエール ヴァレ・ド・ラ・マルヌ シャンパーニュ/フランス 月曜日のワイン。 本日はつれあいの誕生日です。お祝いは土曜日の屋形船で済ませていますが、晩ごはんに「気は心」のシャンパーニュを。 ヴァレ・ド・ラ・マルヌのキュミエール村(1erクリュ格付)にある家族経営のメゾン、ヴァダン・プラトーのスペシャル・キュヴェ《UNTYPICAL LINE》シリーズの中のひとつ。 ワイン名の「カラク・テール/Carac'terre」は、「カタツムリの土地」と訳せば良いのでしょうか? 畑の名前か、キュヴェの名前か? 判然としないところがありますが、性格とか特徴、個性を意味する「カラクテール/caractère」と同じ発音ですね。当然、ダブルミーニングになっているのでしょう。 バックラベルによれば、カラクテールは1erクリュ格付け、2012年収穫のぶどうを使用、ドザージュ・ゼロのノンドゼのシャンパーニュです。 品種構成は、ピノ・ノワール 70%、シャルドネ 30%。ぶどうは、本拠地のキュミエール村産ではなく、お隣りのオーヴィエ村(1erクリュ格付)の小区画(plots)から収穫されたもの。 澱とともに5年間熟成させ、生産本数は1,154本。 自然なワインづくりを志向していて、マロラクティック発酵はせず、無清澄・無濾過、(澱引きの際の)コールド・スタビライゼーションも行わないそうです。 しかし、これだけいろいろ書込みがありながら、なぜかティラージュやデゴルジュマンのデータは未記載。それがちょっと不思議です。 さて、上品なホワイトゴールドのキャプシールを外し抜栓しようとしてギョッとしました。 ミュズレを固定するのがワイヤーではなく、一体成形されたウイングみたいなパーツで繋がっています。こんなの初めてです! 華やかでお祝いにはピッタリですが、慣れないと手を切りそうな気がして、コルクを思い切り捻るのが怖いのが難点ですかね。 それでも何とか抜栓してワインをグラスへ。 もろもろ考え、リーデルのニューワールド・ピノ・ノワールを選択しました。 外観は、透明度の高いライト・ゴールド。泡立ちはきめ細かくクリーミー。出力は抑制的で、持続性はやや低め。 注いですぐに泡は見えなくなりますが、絹糸のような細〜い泡は立ち続け、辛うじてスパークリングワインと認識できます。 グラスからは、非常に豊かで複雑でマッシヴな香りのアタック。 青柚子の皮の刺激や蘭の花、サラッとした白い花の蜂蜜、完熟した白桃、赤りんごの蜜、ドライフルーツのイチゴ、キャラメル、レモンカード、ローストしたナッツ、白檀、白胡椒、チョーク…。 要素がとめどなく出てくる感じですが、全体にウッディノートの香水のような、癒される安定感と突き抜けた鋭さがあります。 エンジンを始動させる時のような静かな昂揚感と、穏やかで落ち着いた統合感を感じる香りです。 口に含むと、またしばらく唸ることになります。 強くエレガントで、重厚なのに軽やか、優しくシャープな味わいと言えば良いのでしょうか? 口に含む度に、常に矛盾した性質を同時に感じるような、味覚的な混乱を伴う味わいです。 もちろん悪い意味ではなく、敬意を持って接するべきというワインからのサイン、アラートのようなものと受け止めるべきでしょう。 ノンドゼですから、とてもドライな味わいになりますが、キレイに昇華された果実感と旨みが凄まじい存在感を放っています。 熟成による香ばしさやスモーキーさ、ほろ苦さや塩味、ミネラルもガッツリ効いて、ひと口ひと口噛みしめるように味わいたい、固体のような塊感のある味わい。余韻も十分です。 本日の主役は、最初の一杯を口にした際に「美味しい!」と呟いて、以降は黙々とワインを楽しんでいます。 良いワインには、飲む人を饒舌にさせる性格のものと、その逆に、寡黙にさせるタイプのふた通りあるようですが、今回いただいたカラク・テールは、その素晴らしさに沈黙をもって応えるのが相応しいキャラクターのようです。 特別な日をお祝いするのに、本当にピッタリなシャンパーニュでした。 この夜は、モダンジャズの黄金期の1962年に録音されたジョン・コルトレーンやマイルス・デイヴィス、ビル・エヴァンスのアルバムを用意しました。 実は、この年がわれわれ夫婦の生まれ年で、今年がちょうど還暦にあたります。 この暑さで、さすがに生まれ年のワインを開けることは自重しましたが、その年に仕込まれたコニャックを準備したり、花束ではなく赤い薔薇のフレグランスや、チャンチャンコ代りの赤いサマーニットをプレゼントしたりと、いろいろ工夫してみました(笑)