2016 マッセリア・リ・ヴェリ　アスコス　ヴェルデカ IGTヴァッレ・ディトリア プーリア/イタリア 都心部への被害が奇跡的に低かったことに安堵した後、次々と入る台風の進路沿いに発生し続ける破壊的な被害の報告に暗澹たる気持ちになった日曜日。 複雑な気持ちを抱えたまま1日が過ぎ、夜は自宅でラグビーを観ながら晩ごはん&ワイン。 台風の被害に対しては、事前も事後も、結局、祈ることしかできませんでしたが、ラグビーの方も、やはり祈ることしかできません。 観戦のお供は、プーリアのヴェルデカという固有品種の白。 品種名の前にある「アスコス」とは、WEBで調べると以下のような記述がありました。 「Askosとは、現在ほとんど見ることのなくなった古代品種を再発見するというワイナリーが実施するプロジェクト名で、古代ギリシャ人によってプーリア州のワイン造りがはじめられたことから、ギリシャ語で「ワインの瓶」を意味するアスコスと名付けられました。」 さて、目の前のワインは濃い黄金色の色合い。マンゴーやパイナップルといったトロピカルフルーツ、ほんの少し蜂蜜。 濃厚な果実感とパワフルな酸、力強く凝縮感がありますが、コッテコテな感じではなく意外に爽やかな後口。 微かな苦味や塩味もあり、とても上品な余韻が残ります。 試合は、日本チームが常に猛烈な圧力を受け続けながら、ギリギリのところで踏み止まり、力を出し切って勝利を収めました。 観ているこちらが筋肉痛になりそうな強烈なゲームで、感情の起伏も相当なものでしたが、ノーサイドの瞬間は一気にフラットな虚脱状態に陥りました。 この気持ち、台風が東京を通過したことを実感した時の気持ちと似ています。 観戦中のハラハラやドキドキ、終わった後のカタルシスに常に寄り添ってくれたこのワイン。 繊細過ぎたりパワフル過ぎたりなワインでなく、しなやかさを内に隠し持ったワインだからこその実に自然な伴走感。とても素晴らしい味わいでした。 ありがとう、ヴェルデカ。

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