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5.0
少し体調を崩していたのでワインは控えていたのですが、タナという聞き慣れない品種と、生まれ年のワインということで購入しました。 さっそくグラスに注いでみると、深い赤紫色。 生意気な表現をすると妖艶。 生まれ年のということもあってか、いつもより重みや謎めいたものを感じてしまいます。←気のせい 少し鼻を近づけてみると、なんと言えばいいんでしょうか、上昇気流があるというか……。 しなやかな柔らかい香りが鼻腔を満たすように流れ込んで来ます。 しかし近づきすぎるとアルコール臭で鼻がひりひりしますね……。 いよいよと思い、せっかくなので21年間の様々に想いを馳せながら少しずつグラスを傾けてみました。 ……別に意味は無いのですが。 口に含んだ感想としては、清らかでいて複雑といった具合です。 アタックはそれほど強く感じられなかったので、良くいえば上品、悪くいえば水っぽいのですが、決して単純というわけではなく、外からは覗きこめないような複雑さを内包しています。 上手く言えませんが、ピントの合わない風景をファインダー越しに見つめているような感覚です。 何かがあるのは分かるのですが、それが何かであるかは明言できません。 これもたぶん1996年という特別感に無意識が意味づけをしているだけだと思いますが……。 でも、とても楽しいです。 その何かを舌で転がしながら、思い出を辿ることができるような気がします。 記憶の引き出しからそれぞれの思い出を見つめて、その時々の感情に浸れるのです。 幸福感も、悔しさも、こんなにあったんだなぁと、日々弾力を失っていく感情を蘇生してくれるような、優しさと厳しさをもって容赦なく過去を見つめさせるような、そんなワインでした。 自己満足のために風景描写を記すならば、10代という時間のほとんどを過ごした学校の教室。 暗い教室には誰ひとりとしていなくて、蝋燭を灯す。 その揺らぐ熱を光源として、黒板には物心ついた頃からの思い出が影となって映される。 希望、情熱、期待、幸福、安らぎ、高揚感、愉楽、理想。 失望、諦め、不安、後悔、苦しみ、寂寥感、挫折、現実。 そのどれもを惜しみなく淡々と映し出してくれる。 教室に入ってくる人影は、触れたと思えば離れていって。 どうにかしようとしているうちに、気づけば1人で、独りきりで、体育座りをしている。 蝋燭が溶ける頃には空は薄らと青白さを帯びている。 無理やり抽象的に表現するならば、そんな体験でした。 このワインがそういうワインという訳では無いのですが、このワインはそういう体験をさせてくれました。 評価は1996年ヴィンテージということで贔屓しております。 いつもの通り評価をするとしたら3.0をつけるでしょう。 なので、1996年生まれじゃない方が飲まれると、恐らくただの美味しいワインだと思います。
Noah
Kimura Tomoyaさん 初めまして(*^^*) フォローありがとうございます。 こちらもリフォローさせて頂きました。 どうぞ宜しくお願い致します✨
Amour
Amourさん はじめまして! こちらこそ、ありがとうございます。 生意気なことばかり書いていますが、どうぞよろしくお願いしますヽ(´▽`)/
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少し体調を崩していたのでワインは控えていたのですが、タナという聞き慣れない品種と、生まれ年のワインということで購入しました。 さっそくグラスに注いでみると、深い赤紫色。 生意気な表現をすると妖艶。 生まれ年のということもあってか、いつもより重みや謎めいたものを感じてしまいます。←気のせい 少し鼻を近づけてみると、なんと言えばいいんでしょうか、上昇気流があるというか……。 しなやかな柔らかい香りが鼻腔を満たすように流れ込んで来ます。 しかし近づきすぎるとアルコール臭で鼻がひりひりしますね……。 いよいよと思い、せっかくなので21年間の様々に想いを馳せながら少しずつグラスを傾けてみました。 ……別に意味は無いのですが。 口に含んだ感想としては、清らかでいて複雑といった具合です。 アタックはそれほど強く感じられなかったので、良くいえば上品、悪くいえば水っぽいのですが、決して単純というわけではなく、外からは覗きこめないような複雑さを内包しています。 上手く言えませんが、ピントの合わない風景をファインダー越しに見つめているような感覚です。 何かがあるのは分かるのですが、それが何かであるかは明言できません。 これもたぶん1996年という特別感に無意識が意味づけをしているだけだと思いますが……。 でも、とても楽しいです。 その何かを舌で転がしながら、思い出を辿ることができるような気がします。 記憶の引き出しからそれぞれの思い出を見つめて、その時々の感情に浸れるのです。 幸福感も、悔しさも、こんなにあったんだなぁと、日々弾力を失っていく感情を蘇生してくれるような、優しさと厳しさをもって容赦なく過去を見つめさせるような、そんなワインでした。 自己満足のために風景描写を記すならば、10代という時間のほとんどを過ごした学校の教室。 暗い教室には誰ひとりとしていなくて、蝋燭を灯す。 その揺らぐ熱を光源として、黒板には物心ついた頃からの思い出が影となって映される。 希望、情熱、期待、幸福、安らぎ、高揚感、愉楽、理想。 失望、諦め、不安、後悔、苦しみ、寂寥感、挫折、現実。 そのどれもを惜しみなく淡々と映し出してくれる。 教室に入ってくる人影は、触れたと思えば離れていって。 どうにかしようとしているうちに、気づけば1人で、独りきりで、体育座りをしている。 蝋燭が溶ける頃には空は薄らと青白さを帯びている。 無理やり抽象的に表現するならば、そんな体験でした。 このワインがそういうワインという訳では無いのですが、このワインはそういう体験をさせてくれました。 評価は1996年ヴィンテージということで贔屓しております。 いつもの通り評価をするとしたら3.0をつけるでしょう。 なので、1996年生まれじゃない方が飲まれると、恐らくただの美味しいワインだと思います。
Noah