先日食べた残りのエポワスのチーズに合わせてこのワインを開けました。調べてみるとドメーヌ・ユベール・リニエ ★ ユベールが息子のロマン（7月に34歳の若さで他界した）と共に、極力機械に頼らず、昔ながらの伝統的な製法で、濃い色調の果実味が凝縮された、味わい深いワインをつくりあげる。ぶどうは100パーセント除梗し、開放のセメントタンクで最低でも2週間以上かけて醗酵。酵母も野生酵母のみで落差を利用してワインが自然にフィルターを通すなどクラシックなスタイルを貫いております。バランスのよい味わいはACブルゴーニュクラスにもしっかりと体現されており、またアペラシオン、テロワールごとの特徴を存分に感じさせてくれる逸品揃いです。特にプルミエ・クリュ、グラン・クリュと上位のアペラシオンになるにつれ、圧倒するような芳香と、黒系果実に複雑さが合わさった味わいは、深みのなかに繊細さも備わり、アフターも長く、これぞユベール・リニエといった素晴らしい広がりとバランスを感じさせます。そして、リリース後すぐでも美味な状態が楽しめるワインは、どのヴィンテージでも10年以上はしなやかさを増し、優美に変身を遂げていきます。ところが、2004年にドメーヌの将来を託されたユベールの末息子、ロマン・リニエが逝去するという悲劇が襲います。一度は引退を決意した老匠ユベール・リニエでしたが、引退を撤回し、再び現場へと帰り咲きます。数十年前はリッチで凝縮感が高く、新樽の香りも強かったユベール・リニエのワインですが、故ロマンがスタイルを微調整し、バランスの良いものに仕上げてからというもの、昔のユベール・リニエを支持していたアメリカ市場だけでなく、世界的に高い評価を受けるようになっていました。ユベールは、スタイルを過去に戻すことはせず、バランス重視の姿勢を堅持しているのは、あまりに早くこの世を去った、息子へのオマージュなのかもしれませんとのこと。作り手の話を聞くと涙が出そうなエピソードがありそうなワインですが、美味しく頂いてしまいました。2015年は良い年なのかな…　ポテンシャルを感じました！

gucci5779