イタリア中部のトスカーナ州、バディア・ア・コルティブオーノ キャンティ・クラッシコ2016。サンジョヴェーゼ90%、残りがカナイオーロとチリエジョーロ、DOCGキャンティ・クラシコ。 色味は明るく透明感あるルビー、香りはチェリーにスミレ、何よりタバコやクローブのスパイス香。 飲み口はさらりとした飲み口に、こなれているがしっかりとしたタンニンと酸味。果実味は最初奥にいるが、次第に程よい位置まで出てきてくれ、最終的にしっかりした骨格の色気ある細マッチョ赤ワインへ。 トスカーナの名物料理の一つに、パッパルデッレ(幅の広いパスタに濃厚なミートソース)があるが、野兎や猪などミートソースの中でも格別脂肪分の多いこの土地の料理に負けない酸味とタンニンが、やはり土地のワインと料理のペアリングの妙技と思う。 ちなみに村上春樹さんの短編小説「我らの時代のフォークロアの中」に、このワインの83年が出てきており、主人公の相対する人の独白を促すアイテムの一つになっている。ほろ苦い性体験を綴ったストーリー、このワインともに是非。

TKR