シラー（ズ）知らずに森の中…その11 2019 トイスナー　ザ・リブキー　シラーズ　エベネザー　バロッサ・ヴァレー　サウス・オーストラリア/オーストラリア 木曜日のワイン。 毎年7月の第4木曜日は「シラーズの日/Shiraz Day」、今年は7月28日がその日に当たります。 当然、オーストラリアのシラーズを飲みますよ！ 作り手のトイスナーは、耕作放棄されそうなバロッサ・ヴァレーの古い葡萄樹を救うために立ち上げられたプロジェクトのような、2001年創業のワイナリー。 ワイン名の「ザ・リブキー」は、バロッサの北部エベネザー地区において6代続き、ワイナリー発足のきっかけになったぶどう栽培農家のファミリーネームに因んだものだそうです。 トイスナーには、いくつかシラーズ100%のワインがあり、私はかつて「アルバート」という高樹齢のぶどうからつくられた素晴らしい赤をいただいたことがあります。 複雑にして繊細な香り、メリハリがあり調和の取れた味わいのエレガントなシラーズでした。 このザ・リブキーはどうでしょうか？（ワクワク） ワイナリー名とアイコンのオールド・ヴァインがエンボスされたボトルは、あまり見かけることのない、背の高いスリムな瓶形。もちろんスクリューキャップです。 グラスは、最近立て続けにいただいているシラー（ズ）たちの感触からザルトのボルドーを選択しましたが、以前アルバートを飲んだ時も、いろいろ試した結果、最終的に同じグラスをチョイスしていました。 ほう！ グラスにワインを注ぎます。 外観は紫の色味の強いガーネット。濃い割には透明感があって、とても艶のある見た目。 ぼってりしたラルムの盛り上がりは、高い粘性を示しています。 ブラックベリーやカシスのような熟した黒果実にラズベリーの煌めき、ダークチョコ、スターアニス的なスパイシーさもあり、香りには立体感とイキイキしたメリハリを感じます。 ミントやユーカリのような清涼感のあるハーブのニュアンスも。 口に含むと、なめらかで濃厚なテクスチャ。 爽やかな果実味ときめ細かく緻密なタンニン、存在感のある酸のバランスが良いですね♪ 特に酸の伸びが素晴らしく、エレガントな余韻へと繋がります。 若いシラーズですが、豊かな果実味のおかげで、今飲んでも美味しく、上質な酸とタンニンがワインの骨格となっていて、素晴らしい将来性も感じます。 シラーズに合わせて準備した、ラムチョップのグリルにもバッチリですね。 単独でも美味しいワインですが、ハーブを効かせたラム肉には最高の相性。 シラーズの日に、シラーズらしいシラーズに出会うことができました！ 南半球&肉の連想から、BGMにはスティーリー・ダンの7作目、『ガウチョ/Gaucho』（1980年）を合わせてみました。 厳密に評価すると、オーストラリア⇄ラム肉⇄シラーズのどこにも掠りもしないのですが、直感通り、1曲目の「バビロン・シスターズ/Babylon Sisters」から、最後の「サード・ワールド・マン/Third World Man」まで、このアルバムはシラーズの日の食卓を引き立てる音楽として完璧です。 スティーリー・ダンの最高傑作といえば、6枚目のアルバム『彩(エイジャ)/Aja』（1977年）を挙げる人が多いと思いますが、個人的には第1期スティーリー・ダンのラスト・アルバムである、この『ガウチョ』こそがベストだと思っています。 初めて聴いた大学生の頃は、バーボンのソーダ割り（ハイボールという言葉は一般的ではありませんでした…）の似合う音楽だなぁ、なんで思っていましたが、久しぶりに聴いてみると、こんなにワインに合う音だったのか⁉︎ と驚かされました。 音楽にも「熟成」という概念が当てはまりそうな、マニアックな要素の多いアルバム…スティーリー・ダンについては、ワインとの相性など、今後もう少し深掘りしてみたいと思います。

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