学生時代に色々とワインを教わった方から頂いた赤。 プーリアのネグロアマーロ。 アルマンド・メルジェ氏により90年代に創業されたワイナリーだそう。 なんでも、キツネが葡萄を食べに来るほどの高品質さながら、かなり良心的なコスパで提供しているとか。 一昨年からはセラーに寝かせていましたが、買ってから2年はクローゼットに仕舞い込んでいたため、かなり不安でした。 が、なんとか生きていてくれました。 ちょっと酔いが回っているので、ワインとの対面記録は簡潔に。 やや枯れ気味の薄色。 香りはとても柔らかくて優しげな黒ベリーを中心とする。 わずかにタバコのような香ばしさや、チョコレート、スターアニスのようなハーブも感じられる。 口に含むと、酸味、果実味、タンニン、どれに焦点を当てても突出したようなものは感じられず、全てがバランス良く並んでいる印象。 そして全体的にどれもが柔らかい。繊細や洗礼されたという様子ではなく、かといって弱々しいわけではない。ただただ円く、柔らかい印象。上品とも言える。 当時、その方が東京へ異動になるということで、最後に手料理を振る舞ってくれました。 カサーレを贅沢に使った牛頰肉の赤ワイン煮込みを頂いた後、仕込みで余ったカサーレを飲みながら、まだ学生で社会を知らなかった私に、「誰かに勝てなくったっていいから、昨日の自分にだけは負けないように」という話をしてくれたことを、未だに昨日のことのように鮮明に覚えています。 その翌朝、このワインを頂いたのでした。 もしまたどこかで会えたら、なんてことを考えながら、ゆっくり飲むこととします。

Noah