味わい |
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香り |
ワイン名 | Paul Humbrecht Pinot Noir Céleste |
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生産地 | France > Alsace |
生産者 | |
品種 | Pinot Noir (ピノ・ノワール) |
スタイル | Red Wine |
2022/03/11
(2013)
価格:3,000円 ~ 4,999円(ボトル / ショップ)
2013 ポール・ウンブレシュト アルザス ピノ・ノワール セレステ プファッフェンハイム(オー・ラン) アルザス/フランス 水曜日のワイン。 アルザスのピノ・ノワールには、程よい熟成を経てエレガントの極みに到達するものもあれば、硬すぎるミネラルの作用で自己崩壊を始めそうなカチカチタイプなど、極端なワインが多い気がしますが、こちらは、良くも悪くも中庸を行く、穏やかな味わい。 2013年のアルザスは平均的な出来と言われていますが、ピノ・ノワールに関してはそこそこ良い年だったようで、このワインも外観は(アルザス・ピノにしては少し濃いめの)明るいガーネット。 アルコール度数も13%ありますので、それなりに糖度の上がった収穫年だったのでしょう。 全体に薄らとオレンジの色合いが入っていますが階調の変化は少なく、ややフラットな調子に見えます。 香りは、少し土のニュアンスがあり、ミネラルっぽさが先に立つ感じ。 出力弱めのミックスベリーの果実香と、紅い花、微かに青っぽい木質感があります。 口に含むと、なめらかな口当たりにサラッとしたテクスチャのサッパリした質感。 経年によって角の取れた酸とタンニンが、ワインの輪郭を朧にしていて、それに合わせたかのように、控えめな果実味に緩めのミネラルのコンビネーション。 好感すれば、「穏やかで滋味に富んだ味わい」となりますが、同時に「キャラクターが弱くメリハリに欠ける」とも言えそうな味わい。 食事と共に楽しむのが良さそうで、単独でいただいていると、少し物足りなくて、次々におかわりしてしまいそうな気もします…いや、しちゃったんですよ(苦笑) コメントが何となくグチっぽくなっているのは、私がこのワインに感じているポテンシャルと、実際飲んだ印象との間に若干のズレがあるせい。 そういう意味では、このワイン、YDK(=やればできるコ)なのかもしれません。 バックラベルのみに記されたこのワインの名前「セレステ(Céleste)」は、「天体」の意味ですが、この言葉は有名なブリア=サヴァランの警句「新しい味覚の発見は、人類の幸福にとって、新しい天体の発見以上のものである」を思い起こさせます。 名前に込められた「やる気」は充分わかりますので、あとは「できる」ところを見せてほしいなと思います。 このワインに合わせたのは、このワインに不足しているように思われる、パッションと官能を体現するかのようなアーティスト、ケイト・ブッシュの『センシュアル・ワールド(The Sensual World)』(1989年)。 彼女にとって6作目のスタジオ録音になりますが、「天才」特有の狂気をどんどん尖らせていくような、5作目までの成長曲線からはやや外れた軌道を描く、賛否両論のあるアルバムです。 彼女自身が「セルフ・セラピー」と評しているように、穏やかで内向的な作品だと思いますが、ブルガリアンヴォイスなど、ワールドミュージックを積極的に取り入れた試行錯誤を経て、より普遍的な新しい美の境地に至った感があります。 私も、最初に聴いた時は、その良さがまったく理解できず、地味な印象のアルバムとして、しばらく放ったらかしにしていましたが、聴けば聴くほど味わい深くなる、素晴らしいポテンシャルを持った作品であることに気がつきました。 特に2曲目に収められた「Love and Anger」は、このまま永遠に聴き続けていたくなるような名曲。 心地よいリズムに昂揚感のあるメロディ、コーラスや様々な楽器が彼女の繊細なヴォーカルをサポートしながら渾然一体となって素晴らしいエナジーを生み出しています。 ワインのあるべき姿として音楽を持ち出すのも変なのですが、私がこのアルザスワインに見たかったのは、まさにこんな世界なのです。 たまにはこういうマリアージュも、あっても良いのでは?と思います。
2021/06/21
(2013)
France, Alsace, Pinot noir, 2013 きれい。適度な酸味。レーズン。ベリー系。