中心は濃いレンガ、エッジにはオレンジが見て取れる明るく美しい夕陽のようなブリックガーネット。スーボワ、なめし皮、スモークベーコンや焚き木、マッシュルーム等の素晴らしい熟成香。熟したダークチェリー、ブラックベリー、カシス、ドライイチジクの果実。タイムやディル、ローズマリーなどのハーブ感に深紅のバラのような芳香さ。カカオやピスタチオ、ミルクチョコレートのようなニュアンスも。それぞれの要素が渾然一体となってグラスか溢れ空間を支配する。エレガントかつ凛とした佇まい。口当たりは非常に柔らかく心地良い酸味を伴う果実味のミディアムボディ。繊細なレースのようなタンニンがボディに調和。オリーブやピクルスのニュアンスを帯びた余韻が果てしなく続く。約一年ぶり、2度目の90年ヴィンテージ。美しく熟成した何とも魅惑的な逸品。コルクが脆く、半分がボトル内へ落下、非常に落ち込む。。。古酒の抜栓は何故もこんなに難しいのだろう。それでもこの香りと味わいに救われる。やはり熟成したボルドーは素晴らしい。

Akihiro Tochikawa