Dom. Jean Michel Stephan Côte Rôtie写真(ワイン) by Kenzo Nakata

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REVIEWS

ワインDom. Jean Michel Stephan Côte Rôtie(2001)
評価

2.5

味わい
ボリューム軽い
重い
タンニン控えめ
強い
甘みドライ
甘い
酸味まろやか
シャープ
果実味スパイシー
フルーティ
香り
    詳細
    シチュエーション
    飲んだ日2016-05-16
    飲んだ場所
    買った日
    買った場所
    購入単位
    価格帯
    価格
    インポーター

    COMMENTS

    Kenzo Nakata

    ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)が表現する味わいの中に、「ビオ味」と私が乱暴に呼んでいる味わいがある。そこに共通するのは、過熟寸前かと思われるほどのブドウ由来の甘さや中華に使われる香辛料様の甘さ、そしてSO2を極力抑えた生産者によく見られる、ワインの中に収まりきらないような細かくぴちぴちとした酸。  「ビオ味」がプラスに出ると、その自然な甘味はその土地毎の極上の旨味でもあり、さらさらと喉や体中の細胞に染みこむようで飲み疲れず、生きた酸の魅力も倍増する。ヴァン・ナチュールが「癒し系」などと形容されるのも頷ける。しかしマイナスに出ると単調な甘さや締まりの無さ、田舎っぽい漢方臭さが目立ち、私自身はそれらを評価しようとは思わない。  同時にヴァン・ナチュールには従来のセパージュ、テロワール、ミレジムといった観念を簡単に覆す力があるようだ。初めてマルセル・ラピエールを飲んだ時の衝撃は忘れられない。これこそヴァン・ナチュールの醍醐味である。マルセル・ラピエールのワインはモルゴンという地のガメイが表現できる「限界」と思われていたものを打ち破ったのだ。こういう例を挙げると枚挙に暇が無い。しかし何を飲んでも先述の「マイナスなビオ味」のみが前面に出ているものに多く出会うのも事実である。こうなると過剰な樽の風味がテロワールを隠してしまうのと同様、「ビオ味がテロワールを隠してしまう」。テロワールの表現手段としてビオやSO2の削減を選んだのだとすれば、それは残念な結果である。  そこで、ヴァン・ナチュールであるジャン・ミシェル・ステファンのコート・ロティだ。その滋味と果実の鮮度感に溢れるスタイルは、明らかにコート・ロティの新しい表現方法の一つであろう。素晴らしいワインや生産者を探求するという私達の行為には、少々マニアックな要素が常につきまとっているように思われるが、ローヌのサロンでつまらなさそうにブースに座っていたステファン氏の風情、訪問のアポイントのためにかけた電話での彼のぶっきらぼうな応対。彼の場合その存在自体もまた、マニアック。そそられる。     土壌が表現する味わいとは?    コート・ロティの急斜面でのビオディナミの実践、限りなくゼロに近いSO2の使用量。「自然な造り」であることに目が行きがちな彼のワインだが、彼のワインが「コート・ロティの新しい表現方法の一つ」たる所以は、その特殊な醸造と、彼の細分化された畑にもある。  彼が生産するワインはスタンダード・キュヴェである「Cote Rotie」、区画名の付いた「Cote Rotie Coteau de Tupin(コトー・ド・テュパン)」、そして樹齢100年のブドウから造られる「Cote Rotie En Coteau(オン・コトー) VV」の3種類であるが、「スタイルが非常に異なる」という理由よりこの3種類のキュヴェの醸造方法は全く異なる。つまりスタンダード・キュヴェにはセミ・マセラシオン・カルボニック法を用い全房発酵後(樹齢の若い区画に関しては100%除梗)約16ヶ月の新樽熟成、コトー・ド・テュパンにはマセラシオン・カルボニック法で全房発酵(シラー100%)、オン・コトー VVは100%除梗後通常の発酵を行い、その後約24ヶ月の新樽熟成を行う(ヴィオニエ 8-10%)。そしてこれらのキュヴェはアッサンブラージュ するまで更に細かくパーセル毎に仕込まれているのである。そこで彼の主なパーセルとその土壌、そしてその土壌が生み出す味わい(味わいはステファン氏本人のコメント)をまとめてみよう。 ①    コトー・ド・バスモン(Coteau de Bassemon) テュパン内(注)のLieu-dit(区画)、Semonの下部。雲母混じりの花崗岩と細かな砂質。繊細な味わい。 ②レ・ベルシュリー(Les Bercheries) テュパン内のLieu-dit。高台の東向きの斜面で、小石混じりの粘土石灰。骨格のあるやや田舎風の味わいで、タンニン、ボディに富み、長期熟成向き。 ③グネス(Gness) テュパン内のLieu-dit、コトー・ド・テュパンにある。最も複雑な土壌で、石英、花崗岩、雲母、石灰からなる。骨格は弱めだが、非常にアロマティック。 ④テール・ブランシュ(Terre Blanche) テュパン内のLieu-dit、テュパンにある。粘土石灰だが粘土は少なめ(25%以下)。アロマティックで長期熟成向き。 ⑤ヴェルネイ(Verenay) アンピュイ内のLieu-dit。母岩は片岩。そこに小石、砂利、砂が混じる。熟したカシス様のアロマや鉄っぽいミネラル。  つまり彼のワインの味わいは、低収量、ビオディナミによる健康なブドウ、キュヴェ毎に異なる醸造、土壌毎の性格、更に樹齢などの要素と、限りなくゼロに

    Kenzo Nakata

    Kenzo Nakata
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